中田システム失敗 控え組に敗れる(soccer modeより)

W杯アジア最終予選のイラン戦(25日・テヘラン)に向けて日本代表は23日午後4時(日本時間午後8時30分)からイラン国立フットボールキャンプで練習。紅白戦(37分×1本)では4―4―2のシステムを最終チェックしたが、約1年ぶりに代表に復帰したMF中田英寿(28)=フィオレンティナ=を中心として攻撃、守備ともに機能せず控え組に1―2で敗れた。練習ではボランチ福西崇史(28)=磐田=とポジショニングで激しく口論するなど決戦2日前に不安を露呈した。

 白銀輝くアルボロス山脈の麓(ふもと)、イラン国立フットボールキャンプを突如覆い尽くした黒い雲のように、約1年ぶりに戻った中田英ジーコ・ジャパンから常勝のオーラを奪った。最終テストとなった紅白戦。黄色のビブスをつけた中田英のために、ジーコ監督が用意した4―4―2システムは完全に機能を停止した。

 テストは失敗だった。すべての災難は中田英から発信された。前半20分には信じられない失態も見せた。中央でフリーの状態で遠く右サイドのスペースを見ながら、サイドチェンジを狙った。だが、右足でカーブをかけたはずのボールは少しも曲がらずに約5メートルの距離で走る味方の小野を直撃。イラン人記者からは失笑すら漏れた。

 「きょうは久しぶりに4―4―2だったけど、あまり良くなかった」中田システムの不調を高原は嘆いた。全盛期の力を示せない中田英に呼応し、チーム全体も攻撃のリズムを失う。中田英、俊輔、小野。アジアで最も豪華な名前を並べた先発組はFW大黒に連弾を浴び、1―2で炎上した。

 収穫の乏しい37分の紅白戦後には、激しい口論も起こった。「お前が行け」と中田英が福西に叫ぶと、福西は「(中田英が)下がれ」と応酬。福西の隣にDF宮本、MF小野も加わった。中田英は激しく両手を動かして持論を主張。不穏な空気にジーコ監督も飛んできた。

 中田英が右サイドに飛び出すと、右ボランチの福西との間に危険なスペースが生まれた。この危険地帯をいかに埋めるか。「ボランチの意見と中田の意見とDFの意見を出し合った」と福西は説明した。

 B組最大の強敵とのアウエー決戦直前とは思えないほど未熟な組織。「ジーコは手の内のすべてを見せたわけではないだろう。だが、イランは100%勝てる」2月のシリア戦と北朝鮮戦をスタンド視察したイラン・サッカー協会の日本調査担当、モハマド・ラジュムズ氏(60)は大きな自信の表情を浮かべた。不安だらけの4バックか、成熟の3―5―2か。そして、不調の中田英を使うのか…。あと2日間。指揮官に残された時間は少ない。